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マンション経営やアパート経営といった不動産経営は、節税効果が得られるということを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

不動産経営で節税効果が得られるというのは間違いではありません。しかし、不動産経営はリスクも伴うため、節税効果だけを目的に不動産経営を行うのはリスクが高いので注意が必要です。

この記事では、マンション経営でどのような節税効果が期待できるのか、節税効果を高めるポイントについて解説します。

マンション経営で期待できる2つの節税効果

マンション経営を行うことによって必ず節税効果が期待できるのかどうか気になっている人も多いと思います。マンション経営で必ず期待できるのは「固定資産税・都市計画税」と「相続税」の節税効果です。

各税金に対してどのくらいの節税効果が期待できるのかを詳しく見ていきましょう。

固定資産税・都市計画税

固定資産税・都市計画税とは、毎年1月1日時点で土地や建物といった不動産の所有者に課される税金です。そのため、マンション経営を行っている場合は、入居者が固定資産税・都市計画税を負担するのではなくオーナーが負担することになります。

固定資産税・都市計画税を算出する際の基準になる建物の固定資産税評価額は建築費用の約50~70%、土地は時価の約70%です。

これらの固定資産税評価額は3年ごとに見直しが行われます。なお、固定資産税の税率は原則1.4%、都市計画税は最大0.3%です。

土地が住宅用地の場合の固定資産税は200㎡以下の小規模の住宅用地の場合は6分の1、200㎡を超える場合には3分の1、都市計画税も200㎡以下の場合は3分の1、200㎡を超える場合には3分の2に軽減されます。

更地を所有している場合には、これらの軽減措置が適用されません。そのため、更地のまま放置するよりマンション経営を行う方が固定資産税・都市計画税の節税効果を抑えられるでしょう。

相続税

現金を相続する場合の相続税評価額は100%なので、額面通りの相続税が課されることになります。しかし、不動産として相続した場合の相続税評価額は100%になりません。

土地の相続税評価額は路線価という国が定める価格基準に基づいて決まりますが、時価の8割程度に定められているのが一般的です。また、マンション経営のような賃貸用不動産は、貸家建付地として扱われるため、さらに相続税評価額を約2割下げることが可能です。

建物の相続税評価額は固定資産税評価額に基づいて決まるため、建築費用の約50~70%になります。土地と同様、貸家の場合は相続税評価額が約3割下げることが可能です。

土地の価格5,000万円、建物の価格5,000万円のマンションを購入して相続した場合は、土地は5,000万円×0.8×0.8=3,200万円、建物は5,000万円×0.6×0.7=2,100万円となります。

土地と建物を合わせて1億円の価値だったものが5,300万円になるため、大幅な相続税の節税効果が期待できます。そのため、相続税対策に悩んでいる人は、現金より不動産として相続するような計画を立てた方が良いと言えるでしょう。

法人化で節税することも可能

マンション経営を行うことで固定資産税・都市計画税、相続税の節税効果が得られますが、個人としてではなく法人としてマンション経営を行えば、さらに節税効果が得られます。

サラリーマンオーナーのほとんどは個人としてマンション経営を行っていると思いますが、法人化してマンション経営を行うことには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?法人化のメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

法人化のメリット

マンション経営を個人ではなく法人として行うことには以下のようなメリットがあります。

  • 不動産所得が給与所得になって給与控除を受けられる
  • 経費に計上できる項目が増えて節税効果が高まる
  • 損失繰越控除期間が9年に延びる(青色申告)
  • 法人税が適用されて税率が下がる可能性がある

損失繰越控除とは、収入と支出を比較して支出が上回って損失が生じた場合に、その損失を繰り越すことができるというものです。固定資産税や相続税だけでなく、マンション経営に関連する様々な税金の節税効果が得られるのが大きなメリットと言えるでしょう。

法人化のデメリット

マンション経営を個人ではなく法人として行うことにはメリットだけでなく以下のようなデメリットも伴います。

  • 税理士報酬といった支出が増える
  • 赤字経営でも最低7万円の法人税が課される
  • 法人を設立する手間・時間・費用がかかる
  • 社会保険の加入が必須になる
  • 税務調査の対象になりやすい

マンション経営を法人化することで大きな節税効果が期待できますが、法人化には多くの上記のようなデメリットも伴います。手間と時間がかかる、無駄な支出が増える、リスクが高くなるなどのデメリットもあるため、メリットとデメリットの双方をよく理解してから法人化しましょう。

マンション経営で計上できる経費

メモと電卓
マンション経営では、うまく経費を計上すれば不動産所得を減らすことによって所得税の節税効果が期待できます。しかし、何でも経費に計上しても良いというわけではありません。

経費に計上できる費用は限られており、経費に計上できない費用も経費に計上していると、税務調査の際に指摘されてトラブルに発展する可能性もあるので注意が必要です。

マンション経営で計上できる費用として、以下のような費用が挙げられます。

  • 各種税金
  • 管理費・修繕積立金
  • 管理委託費
  • 保険料
  • 減価償却費
  • ローン費用
  • 税理士・弁護士費用
  • その他の費用

それぞれの経費に計上できる費用について詳しく見ていきましょう。

各種税金

マンション経営では、以下のような税金が生じます。

  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 固定資産税
  • 都市計画税

不動産取得税や印紙税、登録免許税とは、マンション経営を行うにあたって、マンションを購入する際にかかる税金です。これらが生じるのは購入時だけですが、金額が大きいため、経費として計上することで不動産所得を抑えることができます。

固定資産税や都市計画税は、毎年発生する税金なので、一時的ではなく継続的な節税効果が期待できます。マンション経営の規模が事業規模になって事業化した場合、事業税も経費に計上できますが、住民税や所得税、消費税などは経費に計上できません。

全ての税金を経費に計上できるわけではないという点に注意しましょう。

管理費・修繕積立金

マンション1棟ではなく、分譲マンションのいくつかを取得して経営を行っている場合はマンションの維持管理に必要な管理費や修繕積立金をオーナーが負担します。

管理費とは、マンションの日常の維持管理にかかる費用で、電球の交換や消防設備の点検、マンション管理会社に管理を委託する際にかかる管理委託費などです。

修繕積立金とは、12~15年周期で行われる大規模修繕に備えるための費用です。管理費や修繕積立金は継続的に発生するため、継続的な節税効果が期待できるでしょう。

管理委託費

入居者の募集や賃貸借契約の締結、建物の維持管理などのマンション経営に必要な管理はマンションのオーナー自身が行うことも可能です。

しかし、専門的な知識を必要とするケースも多く、サラリーマンオーナーの場合は仕事との両立が困難であるため、管理を不動産管理会社に委託しているのが一般的です。不動産管理会社に管理を委託すると、管理委託費が発生します。

管理委託費は家賃収入の5%程度ですが、継続して発生するものなので継続的な節税効果が期待できるでしょう。

保険料

マンション経営で伴うリスクの1つに自然災害のリスクがあります。地震や火災といった自然災害によって経営しているマンションに影響が生じると、安定したマンション経営の継続が困難になる可能性があるので注意が必要です。

そこで、それらのリスクを少しでも抑えるために火災保険や地震保険などの保険の加入を検討している人もいると思います。火災保険や地震保険の保険料も経費に計上することが可能です。

保険料を抑えるために、火災保険には加入せずに地震保険のみの加入を検討している人も多いと思います。しかし、地震保険は火災保険の付帯保険となっており、火災保険の加入が絶対条件になっているので注意しましょう。

減価償却費

減価償却費とは、建物の経年劣化によって生じる資産価値の減少です。各種税金や管理費・修繕積立金などは支出を伴いましたが、減価償却費は資産価値の目減りであるため、支出を伴いません。

経費を計上することによる節税効果を高めようと考えた場合は、実際に支出を伴う費用をさらに増やさなくてはならないという矛盾が生じます。しかし、減価償却費は、資産価値が減少するものの実際に支出を伴わないため、節税効果の高い経費と言えます。

減価償却費は、建物に適用されるものの土地には適用されません。そのため、不動産価格に占める建物の値段の高いマンション経営は、戸建経営よりも減価償却費による節税効果が高いと言えるでしょう。

ローン費用

マンション経営は多くの資金を必要とするため、金融機関のローンを利用するのが一般的です。このローンの返済に関する諸費用も経費に計上することが可能です。

しかし、ローンの返済に関する諸費用と言っても元本部分は経費に計上できません。経費に計上できるのはあくまでも利息部分や手数料のみという点に注意しましょう。

税理士・弁護士費用

マンション経営では数多くの費用を経費として計上できますが、経理を誤ると税務調査で指摘されてトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。そのようなトラブルを未然に防ぐために、経理の専門家である税理士に経理を依頼する人も多いと思います。

また、入居者間のトラブルや家賃滞納といったトラブルが生じた場合は、法の専門家である弁護士に相談する人もいます。

これらの専門家に相談や依頼する費用も経費に計上できるので覚えておきましょう。

その他の費用

上記以外にも、物件の様子を見に行くために公共交通機関を利用した場合はかかった費用、自家用車を利用した場合はガソリン代や高速代を経費として計上することが可能です。

マンション経営を行うにあたって電話やインターネットを利用した場合もそれらを経費に計上できますが、プライベートの使用と混在していると一部しか経費に計上できないので注意しましょう。

確定申告は青色申告を選択する

確定申告には、青色申告と白色申告の2種類あります。以前は白色申告の方が確定申告に必要な帳簿作成の手間を省けるため、青色申告よりも白色申告を選ぶ人が多くいました。

しかし、帳簿作成の方法に変更があり、以前よりも確定申告に必要な帳簿作成の手間の差が大きくなくなったことで、青色申告を選ぶ人が増えています。

青色申告のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

青色申告のメリット

青色申告のメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 65万円控除を受けられる
  • 損失の3年繰越が可能になる
  • 青色事業専従者給与を経費に計上できる

青色申告を選択すると、所得額から65万円を控除できるため、節税効果が期待できます。また、通常は損失が生じても翌年以降に持ち越せませんが、損失の3年繰越が可能なので、うまくいけば翌年以降の利益を圧縮できます。

青色申告で5棟10室以上といった規模を満たしている場合は、家族に給与を支払うという形式で必要経費に計上できます。月額8.8万円以内であれば源泉徴収の必要もないため、さらに節税効果が高まるでしょう。

青色申告のデメリット

青色申告を選ぶことにはメリットだけでなく以下のようなデメリットも伴います。

  • 帳簿作成の手間がかかる
  • 税務署に事前申請を行う必要がある

帳簿作成の方法が変更になっても、白色申告の帳簿作成の方法が難しくなっただけで青色申告の帳簿作成の方法が簡単になったわけではありません。そのため、慣れていない人は、帳簿作成に時間と手間がかかるので注意が必要です。

また、青色申告は毎年3月15日までに税務署に所定の書類を提出しなければなりません。そのため、青色申告を利用する人の中には、青色申告の時間と手間を省くために、税理士に依頼する人もいます。税理士に依頼すると、報酬が発生することになるので注意しましょう。

節税目的のマンション経営は危険なので注意

「マンション経営を行うと節税効果が期待できる」とマンション経営を勧めてくる不動産会社もいます。マンション経営を行えば、固定資産税・都市計画税、相続税、所得税などの節税効果が期待できますが、リスクも踏まえた上でマンション経営を行うことが重要です。

マンション経営を行ったからと言って、必ず安定した家賃収入が得られるというわけではありません。空室が生じた場合は家賃収入が得られないため、キャッシュフローが悪化してマンション経営の継続が困難になる可能性があります。

安定したマンション経営を行うには、節税目的だけでマンション経営を始めるのではなく、リスクをしっかり理解した上で始めることが重要と言えるでしょう。

まとめ

マンション経営を行うことで、固定資産税・都市計画税、相続税の節税効果が得られます。経費を計上することで所得税の節税効果も得られますが、マンション経営に関する費用を何でも経費に計上できるわけではありません。

経費に計上できる費用は限られているため、税務調査でトラブルを生じさせないためにも、しっかりと何を経費に計上できるのかを把握しておくことが重要です。

節税効果を高めるには、専門家のアドバイスを得ることもポイントの1つです。税理士に相談すると費用が発生しますが、リスクを抑えながら安定したマンション経営を行うには、専門家のアドバイスが必要不可欠と言えるでしょう。

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