計算する女性

マンション経営では安定した家賃収入が得られますが、この家賃収入は不動産所得として扱われます。不動産所得は他の給与所得などと合算して所得税が課されるため、累進課税が適用される日本では、不動産所得を少しでも抑えたいと考えている人も多いと思います。

不動産所得からは、固定資産税・都市計画税、管理委託費、修繕費などのマンション経営に必要な費用を経費として引くことが可能ですが、どんな費用が経費として認められるのでしょうか?

この記事では、マンション経営にかかる経費について分かりやすく解説します。

マンション経営で生じる経費とは

マンション経営は安定した家賃収入が得られる、高い利回りで運用できるといった印象を抱いている人も多いと思います。

確かに、入居者さえ確保できれば安定した家賃収入が得られる、新築マンションで3~5%、中古マンションで5~7%などのように高い利回りでの運用が期待できます。

しかし、マンション経営で安定した家賃収入を得るには、快適な住環境を整えるための費用、マンション経営を継続するための費用など、多くのランニングコストがかかるので注意が必要です。例えば、水道光熱費、修繕費、固定資産税・都市計画税などです。

これらの費用は経費に計上できます。経費に計上することでマンション経営によって得た不動産所得を少しでも減らせることから、課される所得税を少なく抑えることが可能です。

少しでも節税につなげるためにも、マンション経営でどのような経費を計上できるのかを把握しておくことが重要と言えるでしょう。

経費に計上できる6つの費用

経費を計上すれば課される所得税を抑えることができるため、マンション経営に関連する様々な費用を経費に計上しようと考えているオーナーも多いと思います。

しかし、マンション経営に関連する費用であれば全て経費に計上できるわけではないので注意が必要です。マンション経営で経費に計上できるのは主に以下のような費用です。

  • 経年劣化による減価償却費
  • マンション経営に関する各種税金
  • 万が一に備えるための保険料
  • 管理費・修繕積立金
  • 専門家に管理を委託する管理委託費
  • その他マンション経営に関する費用

それぞれの経費について詳しく見ていきましょう。

経年劣化による減価償却費

減価償却費とは、経年劣化による資産価値の減少を経費として計上できるものです。いくら経費として計上できるかは、建物の構造によって以下のように異なります。

建物の構造 耐用年数(償却率)
木造 22年(0.046)
鉄骨造(鉄骨の厚み4mm以下) 27年(0.038)
鉄骨造(鉄骨の厚み4mm超) 34年(0.030)
鉄筋コンクリート造(RC造) 47年(0.022)

購入したマンションが新築の鉄筋コンクリート造(RC造)で建物価格が1億円の場合は、「1億円×0.022=220万円」を経費として毎年計上できます。経費として計上できるのは耐用年数分なので47年です。

減価償却費は資産価値が減少するだけで実際の支出を伴わないにもかかわらず経費として計上できるため、節税効果の高い経費と言えます。

マンションに付帯する設備も耐用年数に応じて減価償却費を経費に計上できます。しかし、土地は耐用年数が存在せず、経費として計上できないので注意が必要です。

マンション経営に関する各種税金

マンション経営を行う場合は、以下のような税金が課されます。

税金の種類 特徴
不動産取得税 不動産を購入した時に課される
印紙税 売買契約書に対して課される
登録免許税 登記を行った場合に課される
事業税 事業規模でマンション経営を行う場合に課される
固定資産税・都市計画税 不動産所有者に対して課される

不動産取得税と印紙税、登録免許税は不動産の購入時に1度だけ課されますが、事業税と固定資産税・都市計画税は1度だけではなく毎年課されます。毎年課される税金を経費に計上すれば、継続的な節税効果が期待できます。

税金を経費に計上できると言っても、全ての税金を経費に計上できるわけではありません。所得税や住民税、相続税、消費税といった税金は経費に計上できないので注意しましょう。

万が一に備えるための保険料

火災や地震によって建物に被害が生じた場合は修繕費用が大きくかさむ、倒壊した場合は資産価値が大幅に減少します。

火災や地震が生じた場合は安定したマンション経営の継続が困難なので、リスクに備える必要があります。リスク対策として重要なのが保険加入です。

火災保険や地震保険に加入する際にかかる保険料は、経費として計上することが可能です。保険加入を予定している人の中には、複数年契約の方が単年契約よりも保険料が安いため、複数年契約を検討している人も多いと思います。

複数年契約の場合には、加入した年に保険料の全額を経費に計上できると思っている人も多いのではないでしょうか?複数年契約では、初年度ではなく保険料を加入年数で割って毎年経費に計上します。

火災保険や地震保険だけでなく賃貸住宅費用補償保険、施設賠償保険などの保険も経費に計上できるので覚えておきましょう。

管理費・修繕積立金

マンション経営では、マンション1棟を経営するまたは分譲マンションの1室を購入して経営するというどちらかを選択します。マンション1棟を経営する際は関係ありませんが、分譲マンションの1室を購入して経営する場合には管理費と修繕積立金がかかります。

管理費とは、日常のマンションの維持管理にかかる費用を補うものです。例えば、タイルの割れを補修する修繕費用、電球の交換費用、管理を管理会社に委託する管理委託費といった費用が管理費に含まれます。

修繕積立金とは、12~15年に1回の頻度で行われる大規模修繕に備えるためのものです。これらの費用も経費に計上できるため、継続的な節税効果が期待できるでしょう。

専門家に管理を委託する管理委託費

マンション経営を自身で行うことも可能です。しかし、入居者募集や賃貸借契約の締結、建物の修繕、トラブルやクレーム対応などを全て行うには手間と時間がかかります。

自身で行うことでスムーズに対応できず、入居者満足度が低下した場合は、空室リスクを高める可能性があるので注意が必要です。

そのため、マンション経営の知識や経験が少ない人やサラリーマンオーナーは、安定したマンション経営を行うまたは時間と手間を省くために、不動産会社に管理を委託するのが一般的です。

不動産会社に管理を委託すれば、管理にかかる手間と時間を省くことができる、安定したマンション経営が期待できますが、家賃収入の5%程度の管理委託費が生じます。不動産会社に支払う管理委託費も経費に計上できることを覚えておきましょう。

その他マンション経営に関する費用

マンション経営と関連付けられるものは、ほとんど経費に計上することが可能です。例えば、確定申告を依頼するためにかかった報酬、不動産会社と連絡を取るための通信費(電話代やネット費用)、物件の現地確認や不動産会社に行くのにかかるガソリン代や電車代といった交通費などです。

マンション経営や税金に関する本、物件情報を保存するために使うデジカメ、入居者募集のチラシを印刷するためのプリンターといった消耗品の購入費用も経費に計上できます。

しかし、全額を経費にできるとは限りません。マンション経営以外にプライベートの使用も含まれる場合には一部しか経費に計上できない可能性があります。また、経費の計上頻度が多すぎると、税務調査が入った際にトラブルに発展する可能性もあるので注意が必要です。

経費を計上して所得税の節税効果を高めたい、税務調査でトラブルが発生するのを未然に防ぎたい、経理の手間と時間を省きたい人は税理士に依頼するのも選択肢の1つと言えるでしょう。

マンション経営のリスクを抑える3つのポイント

金融系のカード
節税効果が期待できるという理由でマンション経営を勧める不動産会社も数多くいます。確かにマンション経営を行うことによって、上記のように経費を計上すれば所得税の節税、賃貸用として所有すれば固定資産税・都市計画税の節税、現金ではなく賃貸用不動産として相続すれば相続税の節税が期待できます。

節税効果が期待できることは嘘ではありませんが、節税効果を期待してマンション経営を始めたものの、マンション経営に失敗して損失が生じた場合には元も子もありません。

そのため、マンション経営を始める場合は、節税効果だけを目的として始めるのではなく、リスクを抑えながら安定したマンション経営を行えるかどうかを考える必要があります。マンション経営のリスクを抑える上で重要なのが以下の3つのポイントです。

  • 立地条件の優れているマンションを選択する
  • 保険の加入や定期的な修繕などリスクに備える
  • 需要に合うマンションの間取りを選択する

それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。

立地条件の優れているマンションを選択する

マンション経営は安定した家賃収入を得られるのが魅力ですが、家賃収入は入居者がいて初めて得ることができます。空室が生じた場合は安定した家賃収入が得られなくなるため、マンション経営では空室リスクにしっかりと備えなくてはなりません。

空室リスクに備えるには、需要の高い立地条件の優れているマンションを選択することが重要です。例えば、駅から5分以内、ターミナル駅へのアクセスが優れている、スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの日常生活に欠かせない施設が徒歩圏内にあるなどです。

このような立地条件のマンションは、他のマンションと比べると需要が高く空室リスクが低いと言えます。また、築年数が浅いマンションの方が築年数の経過したマンションよりも需要が期待できることから、立地条件以外の需要が期待できるポイントも確認することが重要と言えるでしょう。

保険の加入や定期的な修繕などリスクに備える

マンション経営は空室リスク以外に自然災害リスク、家賃滞納リスクなど様々なリスクを伴います。

自然災害リスクに備えるには、火災保険や地震保険に加入するという方法のほか、耐震性に課題を抱えているまたは劣化が進行している場合は耐震補強工事を行う、定期的に修繕を行うなどの対策が挙げられます。

家賃滞納リスクに備えるには、家賃保証会社と契約するのがポイントです。家賃保証会社と契約を交わしていれば、入居者が万が一家賃を滞納した場合でも家賃保証会社から家賃を受け取れるため、家賃滞納リスクを軽減できます。

不動産会社に管理を委託していれば安定した家賃収入をずっと得られると思っている人も多いかもしれませんが、対策を練らないとリスクの影響で安定した家賃収入を得られない可能性もあるという点に注意しましょう。

需要に合うマンションの間取りを選択する

供給と需要を比較した際に、需要が供給を上回っている場合はどのようなマンションでも需要が期待できると言えます。しかし、日本は少子化によって人口が年々減少しているため、需要が供給を下回っている状況が続いています。

「そんな状況でマンション経営を行うのはリスクが高すぎるのでは?」と思っている人も多いかもしれませんが、そのようなことはありません。需要に合ったマンションを選べば、このような状況でも安定した家賃収入を得ることが可能です。

少子化によって人口は年々減少していますが、世帯数は年々増加しています。その理由は、単身世帯が増加しているためです。未婚の男女の増加が原因の1つとして挙げられるため、ファミリー向けのマンションよりも単身向けのワンルームマンションを選んだ方が良いと言えます。

マンション経営を始める際は、立地条件や築年数だけでなく、間取りも意識しながら物件をしっかりと選ぶことが重要と言えるでしょう。

まとめ

マンション経営では、様々な支出を伴います。これらの支出を経費として計上することで、所得税の節税効果が期待できます。

しかし、支出を経費に計上できると言っても、全ての支出を経費として計上できるわけではありません。経費として認められる費用は限られているため、どのような費用が経費として認められるのかを事前に理解しておくことが重要です。

このようにマンション経営は所得税の節税効果が期待できますが、所得税以外に相続税や固定資産税・都市計画税の節税効果も期待できます。

しかし、節税効果だけを目的としてマンション経営を始めるのはリスクが高いので注意が必要です。マンション経営に失敗して損失が生じては意味がないため、安定した家賃収入が期待できるポイントを押さえながらマンション経営を行いましょう。

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