マンション経営を始めるにあたって、リスクを少しでも抑えるためにセミナーへの参加やネットでの情報収集などに力を入れている人も多いのではないでしょうか?
セミナーへの参加やネットでの情報収集を行うことで、専門家からアドバイスを得られる、知識を身に付けることができるというメリットがありますが、詐欺も多いので注意が必要です。
この記事では、マンション経営詐欺の実態と悪質な詐欺を見抜く方法を解説します。
マンション経営詐欺の3つの特徴
マンション経営は入居者さえいれば、継続的に家賃収入が得られるため、資産運用の中では株式投資やFXなどと比較するとリスクが低いと言われています。しかし、リスクが低いと言っても、リスクが全くないというわけではありません。
そのため、マンション経営を始める前にセミナーへの参加やネットでの情報収集を行って少しでもリスクを抑えようとしている人も多いと思います。しかし、セミナーやネットには詐欺も多く紛れているため、詐欺に遭わないように注意しなければなりません。
詐欺に遭わないようにするには、マンション経営詐欺にどのような特徴があるのか事前に把握しておくことが重要です。マンション経営詐欺の主な特徴は以下の3つです。
- 専門用語を並べて勧誘してくる
- マンション経営のメリットしか言わない
- 購入を急かしてくる
それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
専門用語を並べて勧誘してくる
親身になってくれるセミナー開催者や不動産会社は、相手が理解できるように専門用語を分かりやすい言葉に置き換えて説明を行ってくれます。
しかし、マンション経営詐欺は、都合の悪いことを専門用語で相手に分からないようにする傾向があるので注意が必要です。
何も異変に気付かないまま契約すると、再建築不可といった建築条件付きのマンションを購入させられる可能性も。そのようなマンションを購入した場合、売却したくても買い手が簡単には見つからない、経年劣化や自然災害の影響を受けても建て直しが必要になっても再建築できません。
「そのような説明を受けていない」と言っても、売買契約書や重要事項説明書にその内容が記載されていると泣き寝入りするしかなくなります。このような被害に遭わないためにも専門用語を並べて勧誘してくる業者には注意しましょう。
マンション経営のメリットしか言わない
元本が保証されている、確実に利益が得られる資産運用の方法を除いて、他の資産運用には必ず何らかのリスクを伴います。例えば、マンション経営は以下のようなリスクを伴います。
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 自然災害リスク
- 修繕リスク
マンション経営は継続的に家賃収入を得られると思っている人もいるかもしれませんが、空室が生じた場合は家賃収入を得られません。また、入居者がいても、家賃を滞納されると同様に家賃収入を得られないので注意が必要です。
運用しているマンションが自然災害の影響を受けた場合は修繕費用がかかる、焼失または崩壊した場合は建て直しの費用を支払えずに経営の継続が困難になる可能性もあります。自然災害の影響を受けていなくても、経年劣化による修繕費用がかかります。
このようにマンション経営は多くのリスクを伴うにもかかわらず、メリットしか言わない業者はほぼ詐欺と判断して問題ありません。騙されないように注意しましょう。
購入を急かしてくる
「この物件は人気物件で次に同じような物件を紹介できるとは限らない」「手付金だけでも支払った方が良い」などと購入を急かしてくる業者は、詐欺であるケースが多いと言えます。
セミナーの開催者はセミナー受講生からの受講料収入や提携する金融機関や不動産会社、オーナーからの成功報酬、不動産会社は仲介の依頼を受けているマンションを売却すれば仲介手数料を得ることが可能です。
また、セミナー開催者の中には、所有している運用成績が悪くなかなか売れないマンション、安く仕入れたマンションを売りさばいて利益を得ているケースもあります。
正当な手段で利益を得ている業者は問題ありませんが、上記のような悪質な手段で利益を得ている業者の詐欺に遭うと、不良物件をつかまされて赤字経営に陥る可能性があります。さらに悪質な詐欺の場合は、手付金を支払った後に連絡が取れなくなる可能性もあるので注意しましょう。
マンション経営詐欺に多い6つの勧誘方法
マンション経営詐欺に遭わないようにするには、特徴以外にもマンション経営詐欺に多い勧誘方法を把握しておくことも重要です。
マンション経営詐欺に多い勧誘方法として、以下の6つが挙げられます。
- 利回りが高いので初期投資をすぐに回収できる
- 家賃保証が付いているので安心して経営できる
- 各種税金の節税効果が期待できる
- ローンを利用すれば自己資金が少なくても経営できる
- 老後の備えになることを強調してくる
- 非公開物件であることを強調してくる
それぞれの勧誘方法について詳しく見ていきましょう。
利回りが高いので初期投資をすぐに回収できる
普通預金の金利は0.001%、定期預金でも0.01%、個人向け国債は0.05%とリスクの低い資産運用の手段は利回りが低いというデメリットがあります。マンション経営の利回りは新築マンションで3~5%、中古マンションは5~7%と高く、10%を超える物件も珍しくありません。
仮に利回り10%のマンションを購入して運用すると、10年で初期投資を回収することが可能です。「利回りの高さ=初期投資の回収までにかかる時間」を意味するため、利回りの高さを強調してくる業者も多いですが、利回りの高さに騙されないように注意が必要です。
提示している利回りが表面利回りの場合、初期投資を家賃収入で割っただけなので支出が反映されていません。築年数の経過が原因で利回りが高くなっているマンションの場合は、購入後に多額の修繕費用が発生する可能性があります。
マンションを購入してから後悔しないためにも、提示しているのが表面利回りの場合には、支出を反映した実質利回りがいくらになるのかを確認しておきましょう。
家賃保証が付いているので安心して経営できる
マンション経営では、空室が生じた場合または滞納が生じた場合は家賃収入を得ることができません。それらのリスクを軽減する方法として家賃保証が挙げられます。家賃保証とは、業者が全ての部屋を借りて転貸するという契約方法です。
マンションのオーナーは、入居者の有無や滞納の有無に関係なく家賃収入を得られるため、リスクを抑えながら安心してマンション経営を行うことが可能です。
しかし、家賃保証はメリットばかりではありません。家賃保証が付いていても、家賃設定の見直しで大幅に収入が落ちる、業者が破綻して家賃保証を受けられない可能性があります。
業者が支払う家賃が相場よりも10%程度低いというデメリットもあるため、契約してから後悔しないためにも、デメリットをしっかりと理解しておきましょう。
各種税金の節税効果が期待できる
マンション経営を行うことで、所得税や相続税、固定資産税、都市計画税などの節税効果が期待できるということをアピールする業者も多くいます。
確かに各種税金の節税効果が期待できるのは事実です。しかし、節税効果が期待できるとは限らないケースもあるので注意が必要です。
例えば、マンション経営で得られた家賃収入は不動産所得として扱われます。不動産所得は給与所得といった他の所得と合算してから税額を算出しますが、日本は所得が多くなると税率が高くなる累進課税が適用されています。
「減価償却費という経年劣化による建物の資産価値の減少を経費に計上すれば、所得税を抑えられる」と業者に聞いた人も多いのではないでしょうか?しかし、いくら減価償却費を経費に計上できても、適用される税率が大幅に上がる可能性もあるので注意が必要です。
また、固定資産税や都市計画税、相続税を抑えることができても、それ以上にマンションの価値が下がった、マンション経営に失敗しては意味がありません。失敗を未然に防ぐには、節税効果だけではなく経営が成り立つかどうかをよく考えることが重要と言えるでしょう。
ローンを利用すれば自己資金が少なくても経営できる
マンション経営を始める際は、まずは投資用マンションを購入する必要があります。しかし、投資用マンションは高額であるため、資金に余裕がある一部の人を除いてほとんどの人は資金が足りません。
資金が足りない人でも、マンションが担保になる、家賃収入による返済が期待できるため、金融機関のローンを利用することが可能です。
詐欺業者の中には、「自己資金なしでもマンション経営を行うことができる」と勧めてくる業者もいます。確かに頭金を全く出さずに、投資用マンションの購入資金の全てをローンで補うことも可能ですが、あまりおすすめできる方法とは言えません。
その理由は、住宅ローンとは異なり、投資用マンションを購入する際に契約するローンは、金利が高い、返済期間が短く設定されているケースが多いためです。
返済負担が重くのしかかって場合は、現金化してローン返済に充てるためにマンションを売却しなければなりません。そのような事態を未然に防ぐためにも、無理のない返済計画を立てましょう。
老後の備えになることを強調してくる
老後に備えていない場合は、退職後の収入が年金だけになります。年金収入だけでは十分な収入とは言えず、貯金を崩しながら生活することになるため、しっかり老後に備えなくてはなりません。
老後の備え方にはいくつか方法がありますが、マンション経営が老後の備えになることを強調してくる業者に注意が必要です。マンション経営で家賃収入が得られるようになれば、年金以外の収入を確保できるので老後の生活に少し余裕が出ます。
また、急にお金が必要になった場合でも、売却することでまとまったお金を確保することが可能です。しかし、空室や滞納が生じれば家賃収入を得ることはできない、売却したくても買い手がすぐに見つからない可能性があります。
ローンの契約時に頭金を多く拠出するほど手元に残る現金が少なくなるため、資金不足が原因で万が一の事態に対応できなくなる可能性もあるので注意が必要です。
「マンション経営=老後の備えになる」とは必ずしも言い切れないため、安易にマンション経営を始めないように注意しましょう。
非公開物件であることを強調してくる
セミナー開催者や不動産会社の中には、「セミナー参加者しか入手できない非公開物件」、「問い合わせを行った人にしか提案していない非公開物件」など、非公開物件であることを強調する業者もあります。
非公開物件と言われると、「一般公開されている物件よりもお得なのでは?」と考える人も多いと思いますが、必ずしもそうとは言い切れません。マンション経営詐欺を行う業者は、相手に知識や経験がないことを利用して、買い手が見つからないマンションを売りつけるケースも見られます。
購入直後は満室状態で継続的に家賃収入を得られていても、入居しているのが詐欺業者の社員や知り合いなどで、しばらく経過すると一気に入居者が退去することもあります。
非公開物件だからといってお得な物件とは限らないため、物件の実態をよく確認してから購入した方が良いと言えるでしょう。
詐欺に遭わない不動産経営の始め方
詐欺業者を見抜くことはなかなか容易ではありません。そのため、マンション経営で詐欺に遭わないためには、詐欺業者に遭遇する可能性を下げることが重要です。
詐欺業者に遭遇する可能性を下げる方法として、以下の2つの方法が挙げられます。
- 信頼できる不動産会社に相談する
- 自分でマンションを探して問い合わせる
それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
信頼できる不動産会社に相談する
マンション経営で詐欺に遭わないためには、信頼できる不動産会社に相談することが重要です。信頼できる不動産会社の主な特徴として、以下の3つが挙げられます。
- メリットだけでなくデメリットもしっかり説明してくれる
- マンション経営を強要せずに相談者の立場になってくれる
- マンション経営を行っている人たちからの評判が良い
デメリットもしっかり説明してくれる、相談者の立場になって考えてくれる不動産会社は詐欺に遭う可能性が低いと言えます。
マンション経営を行っている人たちからの評判が良く、管理を多く引き受けているような不動産会社も同様です。
上記のようなポイントを押さえながら信頼できる不動産会社に相談することを心がければ、詐欺に遭うリスクを少しでも抑えられるでしょう。
自分でマンションを探して問い合わせる
マンション経営に関する知識や経験がない人は、セミナーに参加するまたは不動産会社に相談した際に投資用マンションの提案を受ける人が多いと言えます。信頼できる業者だと問題ありませんが、提案してもらうと騙されるリスクが高くなるので注意が必要です。
詐欺に遭うリスクを少しでも抑えたい人は、マンション経営に関する知識を身に付けた後、自分でマンションを探して管理している不動産会社に問い合わせた方が良いと言えます。
自分で厳選すれば多くのリスクを抑えることが可能です。不動産会社に問い合わせた際に条件が少し異なる部分があった場合でも、不動産会社に自分の理想を伝えやすくなるため、自分の条件に合ったマンションが見つかる可能性が高くなります。
セミナー開催者や不動産会社に全て任せるのではなく、マンション経営に自ら参加すれば詐欺に遭うリスクを抑えられるでしょう。
まとめ
マンション経営に興味がある人の中には、マンション経営の知識や経験がなく、セミナーに参加するまたはネットで情報収集する人も多いと思います。
しかし、セミナーの開催者やネットに情報を提供している不動産会社の中には、詐欺業者も多いので注意が必要です。詐欺業者に遭遇した場合、条件の悪い物件を売りつけられて赤字経営に苦しむ、手付金だけ受け取って音信不通になるような最悪なケースもあります。
詐欺業者に遭遇するリスクを少しでも抑えながらマンション経営を行うには、詐欺業者の特徴や勧誘方法を理解して見抜くことが重要です。
また、信頼できる不動産会社に相談する、自分でマンションを探して問い合わせるといったポイントを押さえながらマンション経営を行えば、詐欺に遭うリスクを大幅に抑えられるでしょう。