マンション経営やアパート経営などの不動産投資には節税効果があるという話を聞いて、本当に節税効果があるのか気になっている人も多いのではないでしょうか?この記事では、不動産投資で固定資産税が節税できるか気になっている人に向けて、不動産投資と固定資産税の関係について解説します。
マンションの固定資産税とは?
固定資産税とは、土地や建物などの不動産(固定資産)を所有している人に対して課される税金です。毎年1月1日時点における所有者に対して固定資産税が課されます。固定資産税は1回で支払うのではなく、4回に分けて納めます。
「マンション経営は入居者が固定資産税を負担するのでは?」と思っていた人がいるかもしれませんが、課されるのはあくまでも所有者であるオーナーです。そのため、マンション経営を始めるにあたり不動産を所有するということは、固定資産税を納めなくてはならないので注意が必要です。
マンション経営による固定資産税の節税効果
マンション経営には節税効果があるという話を聞いて、固定資産税も軽減できるかどうか気になっている人は多いと思います。
マンション経営で生じる固定資産税は、以下の2つのケースで節税効果が期待できます。
- 居住用マンションからの切り替え
- 固定資産税を経費に計上する
それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
居住用マンションからの切り替えは固定資産税の節税効果あり
転勤で自分の居住していたマンションが空き家になる、物件を相続したものの既に自分の住宅を所有しているので空き家になるという人もいると思います。固定資産税は、市町村といった各自治体から物件の所有者に課されるため、居住しているかどうかは関係なく、所有者であれば必ず固定資産税が課されます。
そのため、「手放すのがもったいない」という理由で空き家のまま放置していても、無駄な支出が増えて負担になるだけなので注意が必要です。しかし、物件を居住用から賃貸用に切り替えれば、家賃収入が得ることができます。また、賃貸用物件は、固定資産税の金額を求める際の評価額を下げることができます。
具体的な計算式は以下の通りです。
- 建物の評価額:固定資産税評価額×(1-借地権割合)
- 土地の評価額:自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合)
借地権割合は一律30%なので、物件をただ単位所有するよりも建物の評価額を30%軽減できます。また、借家権割合は地域ごとに異なりますが、60~70%に設定されているのが一般的です。仮に60%だったとすると土地の評価額を18%軽減できます。この計算方法を覚える必要はありません。居住用の物件を賃貸用に切り替えることで、固定資産税の節税効果が期待できるということをポイントとして押さえておきましょう。
固定資産税を経費に計上することによる所得税の節税効果あり
不動産投資では、管理会社に不動産の管理を委託する際に支払う管理委託費や水道光熱費、修繕費といった費用が発生します。これらの費用は不動産所得を計算する際に経費として計上できます。固定資産税も経費に計上可能です。そのため、固定資産税を経費に計上することで、不動産投資で生じた利益を圧縮できるのがメリットと言えます。
また、確定申告の際に不動産所得と給与所得の利益と損失を合算できる損益通算を行えば所得全体を減らせるため、所得税の節税効果も期待できるでしょう。
固定資産税の節税対策における3つの注意点
不動産投資を行うことによって固定資産税や所得税の節税対策になることが分かりました。しかし、固定資産税や所得税の節税目的で不動産投資を行う場合には、以下の3つの点に注意が必要です。
- 入居状況に関係なく発生する
- キャッシュフローが悪化する
- 所得税の節税効果→赤字経営になる
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
注意点①:入居状況に関係なく発生する
固定資産税は、物件に入居者がいる場合のみ発生するというものではありません。空室でも固定資産税は発生するという点に注意が必要です。物件を所有している間は継続的に発生する費用であるため、不動産投資を行うのであればそれ以上の収入が得られないと意味がありません。
どうしても物件を手放したくない場合を除いて、入居者を安定して確保できない場合には固定資産税を抑えるために物件を売却することも1つの選択肢と言えるでしょう。
注意点②:キャッシュフローが悪化する
不動産投資を始める際は、物件を購入して始める人もいます。物件を購入する人は、全てを自己資金では補えないため、金融機関から融資を受けるのが一般的です。節税目的で不動産投資を始めたにもかかわらず、空室が生じた場合は家賃収入からローン返済を行うことができません。給料や貯金から返済を行わなくてはならない可能性もあるので注意が必要です。
注意点③:所得税の節税効果→赤字経営になる
不動産所得は、確定申告の際に給与所得といった他の所得と損益通算を行うことによって、所得税の節税効果が期待できることは既に触れました。しかし、所得税の節税効果を得るためには、不動産所得が赤字でないといけません。実際に支出を伴わない減価償却費と呼ばれる経年劣化による価値の減少も経費に計上するという方法もあるため、形だけの赤字にすることもできます。
ただし、減価償却費はいつまでも計上できるわけではないため、所得税の節税効果はあまり期待できないことがデメリットと言えるでしょう。
まとめ
転勤で自分の居住していたマンションが空き家になる、物件を相続したものの既に自分の住宅を所有しているので空き家になってしまうケースがあります。そのようなケースでは、空き家のまま放置していても固定資産税がかかるだけなので、特に売却の予定がない場合は賃貸経営を始めた方が良いと言えます。
その理由は、家賃収入が得られるだけでなく、固定資産税や所得税の節税効果が期待できるためです。しかし、所得税の節税効果を得るには、不動産所得が赤字でないといけません。節税効果を得るために所得が赤字になるのは本末転倒であるため、本当に節税効果が期待できるのかよく考えてから不動産投資を始めましょう。