マンションやアパートを購入して貸し出す不動産投資では、安定した家賃収入だけでなく節税効果も期待できます。
しかし、節税効果だけを目的として不動産投資を始めると、不動産投資に失敗してせっかく購入した不動産を手放さなくてはならない可能性もあるので注意が必要です。
この記事では、マンション経営の節税効果に興味がある人に向けて、節税とリスクについて解説します。
マンション経営と関係する3つの税金とは
買い物で購入する商品には消費税、会社からもらう給料には所得税や住民税などのように、様々なものに税金が課せられています。
マンション経営を行っていても、様々な税金が課せられます。マンション経営を行っていて課せられる主な税金は以下の3つです。
- 固定資産税
- 所得税
- 相続税
マンション経営ではこれらの税金が課せられますが、節税効果も期待できます。どのような税金なのか、どのような節税効果が期待できるのか詳しく見ていきましょう。
固定資産税
固定資産税とは、土地や建物などの不動産を所有している場合に毎年課せられる税金です。固定資産税の基準となる固定資産税評価額は、不動産の時価よりも低く設定されています。
その不動産が賃貸用である場合、さらに固定資産税を低く抑えることが可能です。具体的な固定資産税の計算式は以下の通りです。
- 建物の評価額:固定資産税評価額×(1-借地権割合)
- 土地の評価額:自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合)
借地権割合は一律30%、借家権割合は60~70%に設定されており、建物であれば70%、土地であれば20%程度は固定資産税を抑えることが可能です。
所得税
所得税とは、所得に課せられる税金です。所得税法上、所得は全部で10種類に区分されています。不動産経営によって得られる所得は、不動産所得として扱われます。
不動産所得の計算式は「総収入(家賃収入や礼金、更新料など)-不動産経営にかかる経費(管理委託費や修繕費など)」です。経費を計上することで、不動産経営に対して課される所得税を抑えることが可能です。
経費の中には、実際に支出を伴わない減価償却費と呼ばれる経費もあります。減価償却費は、資産価値の下落を経費として計上できるものです。うまく経費に計上することで、所得税の節約が期待できるでしょう。
相続税
相続が発生して、相続財産を被相続人から受け取った場合には、相続財産に対して相続税が課されます。現金を相続した場合の相続税評価額は100%として扱われますが、不動産を相続した場合の相続税評価額は固定資産税評価額を基準とするので70%に軽減されます。
また、賃貸用不動産の場合には固定資産税の算出と同様の計算式が用いられるため、建物の相続税評価額は現金の半分以下、土地も大幅に下げることができるでしょう。
マンション経営で伴う主なリスク
マンション経営には、安定した家賃収入が得られる、節税効果が期待できるなどメリットが多数あります。そのため、節税効果目的でマンション経営を始めることを検討している人も多いかもしれませんが、節税目的だけで始めるのはとても危険です。
その理由は、マンション経営には様々なリスクを伴うためです。マンション経営に伴う主なリスクは以下の5つです。
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 自然災害リスク
- 資産価値減少リスク
- 修繕リスク
それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
リスク①:空室リスク
空室リスクとは、空室が生じた場合に想定していた家賃収入が得られなくなるリスクです。投資規模の大きいアパート経営やマンション経営であれば、全てが空室にならない限りは家賃収入が0になることはありません。
しかし、1室だけのマンション経営の場合は、空室とともに家賃収入が0になり、契約したローンの返済を家賃収入で行えなくなるので注意が必要です。
リスク②:家賃滞納リスク
空室が生じていなくても、家賃収入が得られない可能性があります。それが家賃滞納リスクです。入居者が家賃を滞納した場合には、本来得られるはずの時期に家賃収入を得ることができません。
家賃保証会社や連帯保証人から家賃を回収することも可能ですが、予定通りに家賃収入を得られないと、キャッシュフローが悪化するので注意が必要です。
リスク③:自然災害リスク
マンション経営を行う中で、建物が台風による大雨や強風、地震といった自然災害の被害に遭うこともあります。
自然災害で建物が深刻なダメージを受けた場合は、家賃収入が得られなくなる、賃貸経営を継続するために多額の修繕費が必要です。火災保険や地震保険に加入していれば、修繕費を補うことは可能ですが、修繕中の家賃収入は0になってしまうでしょう。
リスク④:資産価値減少リスク
マンションは築年数の経過とともに資産価値が下落します。そのため、何年かマンションを運用してから売却しても、購入当初の価格では売却できないので注意が必要です。
資産価値の下落が大きすぎると、マンション経営を行っても家賃収入で資産価値の下落を補うだけになってしまいます。資産価値の下落は必ず生じますが、資産価値が下落しにくく、立地条件が良く需要の高いマンションを選ぶことが重要と言えるでしょう。
リスク⑤:修繕リスク
築年数の経過とともにマンション全体および室内の劣化は少しずつ進行します。そのため、資産価値の下落を防ぐ、入居者ニーズに応えるために適宜修繕を行わなくてはなりません。
修繕には多額の費用を要するものもあるため、計画的に不動産経営を行わないと修繕費の不足を理由に修繕を行うことができない可能性もあるので注意が必要です。
まとめ
安定した家賃収入が期待できる、節税効果も期待できるといった理由で、マンション経営に興味を持っている人も多いと思います。
しかし、マンション経営も資産運用の1つである以上は、必ず何らかのリスクを伴うので注意が必要です。
例えば、いくら節税効果が期待できても、空室が生じて家賃収入が得られない、資産価値が下落していては節税の意味がありません。マンション経営を始める際は、リスクを抑えるためにも、あらかじめ専門家に相談してから始めることをおすすめします。