参考書を持つ女性

マンション経営は安定した家賃収入が期待できるため、資産運用や土地活用の手段としてマンション経営に興味を抱いている人も多いと思います。

不動産関連の業務を行う場合は宅地建物取引士といった資格が必要になる場合があります。マンション経営を始める場合も不動産関連の資格が必要なのか気になっている人もいると思いますが、資格がないとマンション経営を行うことはできないのでしょうか?

この記事では、マンション経営に資格が必要なのか、持っておくと便利な資格について解説します。

マンション経営に資格は必要ない

不動産の売買や賃貸の仲介では、契約後にトラブルが生じることを未然に防ぐために重要事項説明が行われます。この重要事項説明や重要事項説明書・契約書への記名および押印は、必ず宅地建物取引士という資格を持っている人が行わなくてはなりません。

このように不動産に関する業務には、宅地建物取引士や不動産鑑定士、建築士などの資格が必要になるケースが多く見られます。そのため、マンション経営を始める場合にも何らかの資格が必要なのかどうか気になっている人も多いのではないでしょうか?

マンション経営は特に資格を必要としません。しかし、マンション経営はリスクを伴うため、リスクを抑えるためにもマンション経営に関する知識をしっかりと身に付けておいた方が良いと言えるでしょう。

マンション経営で身に付けておくべき知識とは

マンション経営で身に付けておくべき知識として、以下のような知識が挙げられます。

  • 不動産に関する知識
  • マンション経営に関する知識
  • 会計・税務に関する知識

それぞれの知識について詳しく見ていきましょう。

不動産に関する知識

マンション経営を行うには、投資用マンションを購入するまたは建築する必要があります。分譲マンションの1室を購入してマンション経営を始める場合にかかる費用は、居住用のマンションを1室購入する場合の費用とほぼ同じです。

複数の部屋を有しているマンション1棟を購入してマンション経営を始める場合にかかる費用は、居住用の物件を購入する場合よりも多くかかります。

中古マンションを購入すれば、新築マンションを購入するよりも初期投資を抑えることが可能です。しかし、新築マンションよりも空室が生じやすく、経年劣化で修繕が増えるのでランニングコストの負担が大きくなるといったデメリットがあります。また、マンションの間取りによって需要が変動するので注意が必要です。

リスクを抑えながらマンション経営を行うには、どのくらいの費用がかかるか、どのようなマンションの需要が高いのか、新築マンションと中古マンションの違いなど、不動産全体の知識を広く身に付けることが重要と言えるでしょう。

マンション経営に関する知識

マンション経営を始める際は分譲マンションの1室またはマンション1棟を購入しますが、数千万円~数億円の資金を必要とします。

購入資金を自己資金だけで補いきれないため、金融機関の融資を利用する人が多いですが、融資を利用すると毎月返済を行わなくてはなりません。融資はマンション経営で得られた家賃収入から返済します。

しかし、空室や滞納が生じた、火災や地震の影響でマンションが消失または倒壊した場合、家賃収入が得られなくなります。そうなると、貯金や収入を返済に充てる、最悪の場合には融資を返済するためにマンションを手放すことになる可能性もあるので注意が必要です。

マンション経営に失敗すると大切な資産を減らすことになります。そのため、失敗を未然に防ぐためにも、マンション経営にはどのようなリスクを伴うのか、どのようなリスク対策が考えられるのかなど、マンション経営を安定して行うための知識を身に付けましょう。

会計・税務に関する知識

サラリーマンとして働きながら副業としてマンション経営を行う場合もマンション経営を法人化して行う場合も、マンション経営で得られた収入の申告を行わなければなりません。

副業としてマンション経営を行う場合は、マンション経営で得られた総収入から関連する諸経費を引いて不動産所得を申告します。

法人化の場合は、マンション経営で得られた収入を他の収入に合算して、事業全体で生じた経費を引いて申告します。

マンション経営をどのような形態で行うかによって申告方法が異なる、計上できる経費に差が生じるので注意が必要です。経費を多く計上すれば所得税を抑えることが可能ですが、計上できない費用を経費として計上していた場合は、税務調査の際にトラブルに発展する可能性があります。

正確な経理処理でトラブルを未然に防ぐ、無駄な支出を減らすために、会計・税務に関する知識を身に付けることが重要と言えるでしょう。

マンション経営で持っておくと便利な資格7選

勉強する女性
マンション経営を行う場合は、不動産に関する知識、マンション経営に関する知識、会計や税務に関する知識を身に付けておいた方がリスクを抑えながら経営を行うことが可能です。

3つの知識は、ネットで検索するまたは本を購入することで身に付けることができますが、キャリアアップを兼ねて資格を取得するのも選択肢の1つと言えます。マンション経営で持っておくと便利な資格として、以下の7つが挙げられます。

  • 宅地建物取引士
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 不動産実務検定
  • 管理業務主任者
  • マンション管理士
  • 住宅診断士
  • ファイナンシャルプランナー

それぞれの資格について詳しく見ていきましょう。

宅地建物取引士

宅地建物取引士とは、不動産売買や不動産賃貸などに広く精通している専門家です。不動産売買や不動産賃貸といった宅建業を営んでいる不動産業者は、必ず従業員の5人に1人は宅地建物取引士を配置しなければなりません。

宅地建物取引士の資格を有していれば、不動産売買や不動産賃貸における手続きの手順やどのようなトラブルが生じやすいかという知識が身に付きます。

マンション経営で役に立つ資格であることに加えて、転職する際に有利に働く資格なので持っておいて損はないと言えます。

しかし、宅地建物取引士の合格率は15~17%です。取得しやすい資格とは言えないため、試験に臨む際はしっかりと勉強してから臨みましょう。

賃貸不動産経営管理士

賃貸不動産経営管理士とは、賃貸アパートや賃貸マンションなど賃貸住宅の管理に関する知識を身に付けた専門家です。賃貸住宅管理業者として登録している業者は、事務所ごとに1名以上の賃貸不動産経営管理士を配置しなければなりません。

賃貸不動産経営管理士の資格を有していれば、建物管理や空室対策、広告活動を行うために必要な知識が身に付きます。

マンション経営で役に立つ資格であることに加えて、宅地建物取引士と同様、転職する際に有利に働く資格なので持っておいて損はないと言えます。

宅地建物取引士が15~17%の合格率であるのに対し、2019年の賃貸不動産経営管理士の合格率は約37%です。今後国家資格になる可能性が高く、合格率が年々下がっているので取得を予定している人は早めに取得することをおすすめします。

不動産実務検定

不動産実務検定とは、不動産経営の基本を身に付けることができる資格です。資格の中には資格を有している人しか業務を行うことができない資格もあります。例えば、医師や弁護士、税理士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士などです。

しかし、不動産実務検定は、そのような業務独占の資格ではありません。マンション経営に必要な法律や税務、契約などの知識を身に付けることができる資格です。

他の資格は年1回しか受験できませんが、不動産実務検定はコンピューターによる試験でほぼ毎日実施されています。そのため、マンション経営の知識が全くない初心者がこれから知識を身に付けるのに、最も適している資格と言えるでしょう。

管理業務主任者

管理業務主任者とは、マンション管理に関する知識を身に付けた専門家です。マンションは適正な管理を行わなければ、入居者全員に影響が生じます。そのため、マンションの管理をマンション管理業者に任せているケースが多く見られます。

マンション管理業者は、30棟ごとに1名以上の管理業務主任者を事務所に配置しなければなりません。

管理業務主任者の資格を有していれば、建物や設備に関する知識、維持や管理を行うために必要な財務に関する知識が身に付きます。

マンション経営で役に立つ資格であることに加えて、転職する際に有利に働く資格なので持っておいて損はないと言えます。

しかし、管理業務主任者の合格率は20%程度です。宅地建物取引士と同様、取得しやすい資格とは言えないため、しっかりと勉強してから臨みましょう。

マンション管理士

マンション管理士とは、マンションで生じるトラブルにアドバイスを行う専門家です。管理業務主任者と何が違うか分からないという人も多いかもしれませんが、管理業務主任者はマンション管理業者への配置が義務化されている一方で、マンション管理士はそのような義務がありません。

マンション管理士の資格を有していれば、契約や維持・管理に関する知識が身に付きます。実務的なルールをしっかりと身に付けられるため、トラブルを未然に防ぎながら安心してマンション経営を行うことができるようになります。

しかし、マンション管理士の合格率は7~9%です。取得しやすい資格とは言えず、資格を取得しても業務独占というメリットがありません。

ただし、勉強の内容や試験時期は、管理業務主任者とほぼ同じであるため、両方をセットで受けるのも選択肢の1つと言えるでしょう。

住宅診断士

住宅診断士とは、建物の劣化状況を踏まえながら適切な時期に改修を提案する専門家です。目視で屋根や外壁などの確認を行うのが一般的で、機材を使って詳しく診断を行うこともあります。

住宅診断士はあくまでも提案を行うだけで、住宅診断士自体が改修を行うとは限りません。そのため、建築士といった資格を有していない人でも住宅診断士を取得できます。

住宅診断士の資格を有していれば、建物のどのような部分をチェックすべきなのか、状態がどのようになっていれば改修を行わなければならないのかといった知識が身に付きます。

改修計画や資金計画をしっかり立てられるため、資金不足が原因で改修を行えないというトラブルを未然に防ぐことが可能です。

住宅診断士の合格率は30%程度と決して簡単ではありませんが、適切な修繕を行わないとマンション経営のリスクが高まるため、持っておきたい資格の1つと言えるでしょう。

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーとは、ライフプランの設計や資産運用、相続や事業承継などのアドバイスを行う専門家です。「マンション経営とは直接関係ないのでは?」と思った人も多いのではないでしょうか?

ファイナンシャルプランナーの資格を有していれば、金融資産の運用に関する知識として不動産の取得や売却に関する知識、税金や契約に関する知識などが身に付きます。

また、ライフプランの設計に関する知識を身に付けることで、収支バランスを踏まえながら無理のないローン返済を計画できる、ライフイベントに合わせた資産形成ができるようになります。

ファイナンシャルプランナーは1~3級に分かれており、3級は合格率70%程度、2級は25~30%、1級は10%程度です。3級でもマンション経営に必要な知識は身に付くため、まずは3級取得を目指してみましょう。

まとめ

マンション経営は入居者さえいれば安定した家賃収入が期待できることから、資産運用や土地活用の手段として興味を持っている人も多いと思います。

マンション経営は資格がなければ始められないと思っている人もいるかもしれませんが、マンション経営は特に資格がなくても始めることが可能です。

しかし、必要ないと言ってもリスクを抑えながらマンション経営を行うためにも、不動産の知識・マンション経営の知識・会計や税務の知識は身に付けた方が良いと言えます。

マンション経営に必要な知識はネットや本などで調べれば身に付けることができますが、資格を取得した方がキャリアアップにもつながるので資格取得がおすすめです。

資格には宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・不動産実務検定などが挙げられますが、資格によって身に付く知識が異なります。また、資格によって合格率が大幅に異なるため、それぞれの資格の特徴をよく理解してから資格取得にチャレンジしましょう。

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