木とマンション

マンション経営に興味がある人の中には、いくら収入が得られるのか気になっている人も多いと思います。

マンション経営の収入が少なければもっと効率良く資産を増やせる手段を選ぶ必要がある、収入が多ければ脱サラしてマンション経営1本に絞ることも可能なので、いくらの収入が得られるのか知っておいた方が良いと言えます。

この記事では、マンション経営で十分な収入が期待できるのか、収入の目安を解説します。

マンション経営で期待できるおおよその収入

マンション経営の利回りは、立地条件や築年数などで異なるので一概に言い切れませんが、新築マンションで3~5%、中古マンションで5~7%程度と言われています。

おおよその利回りはSUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトの物件情報を見れば確認できますが、マンション経営によって得られる収入はどのくらいなのでしょうか?

働いて得られる収入が給与所得に分類されるのに対して、マンション経営投資で得られる収入は不動産所得に分類されます。

国税庁が公表している「申告所得税標本調査結果(平成30年)」の所得種類別表によると、不動産所得の所得階級別の人数割合は以下の通りです。

合計所得階級 人数(人) 人数割合
70万円以下 36,180 1.60%
100万円以下 66,342 2.93%
150万円以下 162,750 7.18%
200万円以下 197,086 8.69%
250万円以下 193,526 8.54%
300万円以下 169,421 7.47%
400万円以下 278,954 12.31%
500万円以下 220,708 9.74%
600万円以下 169,510 7.48%
700万円以下 132,140 5.83%
800万円以下 102,075 4.50%
1,000万円以下 139,325 6.15%
1,200万円以下 88,610 3.91%
1,500万円以下 82,517 3.64%
2,000万円以下 78,166 3.45%
3,000万円以下 67,344 2.97%
5,000万円以下 45,458 2.01%
1億円以下 25,045 1.10%
2億円以下 8,044 0.35%
5億円以下 2,881 0.13%
10億円以下 557 0.02%
20億円以下 190 0.01%
50億円以下 83 0.00%
100億円以下 22 0.00%
100億円超 15 0.00%
合計 2,266,949 100.00%

参考:申告所得税標本調査結果|国税庁

所得階級別に見てみると、1億円以上の不動産所得を得ている人の割合がかなり低いことが分かります。300~400万円が12.31%と最も多く、次いで400~500万円が多いことを考えると、不動産所得の1つの目安は400万前後と言えます。

100万円以下の人の割合が4.53%であることを考えると、マンション経営は十分に収入が期待できる、うまくいけば脱サラも可能な資産運用の手段と言えるでしょう。

不動産所得=家賃収入ではない

お金と模型の家
「不動産所得=家賃収入」と思っている人もいるかもしれませんが、不動産所得がそのまま家賃収入を表しているわけではありません。「不動産所得=総収入金額-必要経費」です。

そのため、不動産所得を増やすには総収入金額を増やす以外にも必要経費を減らす方法も挙げられるため、両方を意識することが重要です。

不動産所得を増やすことがマンション経営を成功へと導く上で必要不可欠と言えますが、増えすぎるのはあまりうれしいこととは言えません。その理由は、不動産所得は累進課税が適用されるためです。累進課税とは何なのか詳しく見ていきましょう。

不動産所得に応じて税率が変化する

所得には、給与所得、不動産所得などいくつか種類がありますが、それらの所得には税金が課されます。

課される税金は、総合課税と分離課税の2つに分かれており、総合課税は1つだけでなく他の所得と合算して算出する、分離課税は各所得に定められている独自の税率に基づいて税金を算出するという違いがあります。

分離課税は税率が一定なので、所得が増えるとともに税率が高くなる総合課税と比べると課される税金を抑えることが可能です。総合課税は所得が増えるとともに税率が高くなる以下のような累進課税が適用されるという点に注意が必要です。

所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円超330万円以下 10%
330万円超695万円以下 20%
695万円超900万円以下 23%
900万円超1,800万円以下 33%
1,800万円超4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%

不動産所得には総合課税が適用されており、給与所得といった他の総合課税が適用される所得と合算して所得税を算出します。例えば、500万円の給与所得者に適用される税率は20%ですが、不動産所得が200万円の場合は合算すると700万円なので税率は23%です。

さらに不動産所得が順調に推移して給与所得と同様の500万円を得られるようになると、税率が33%と10%以上アップすることになります。このように不動産所得が増えた場合、課される税金も増えるため、給与所得とのバランスを考慮しながら調整することも重要と言えるでしょう。

不動産所得から差し引く諸経費一覧

不動産所得を調整する上で重要になってくるのが諸経費です。マンション経営に関連する費用であれば何でも経費に計上できるわけではありません。

何も知らないまま経費としてマンション経営に関連する費用の全てを計上した場合には、税務調査で指摘されてトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。

総収入金額から差し引くことができる諸経費として、以下のような費用が挙げられます。

  • 租税公課
  • 保険料
  • 管理費・修繕積立金
  • 管理委託費
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 減価償却費
  • ローン関連費用
  • 修繕費

それぞれの費用について詳しく見ていきましょう。

租税公課

租税公課とは、固定資産税・都市計画税、不動産取得税などの税金のことです。マンション経営では、マンションの取得時に不動産取得税、売買契約締結時に印紙税、抵当権や所有権移転などの登記を行う際に登録免許税といった税金がかかります。

また、マンション経営を行うオーナーは不動産の所有者なので、固定資産税や都市計画税の課税対象者として毎年税金が課されます。これらの租税公課は、経費として計上できるので覚えておきましょう。

保険料

マンション経営は空室のリスクや家賃滞納リスクなど様々なリスクを伴います。自然災害リスクもそのうちの1つです。

マンション経営を行っているマンションが地震や火災の被害に遭った場合、一部の被害で済んでいれば修繕を行いながらマンション経営を継続することが可能ですが、修繕費用が多くかかります。

倒壊すると修繕費用がさらにかかる、修繕中の家賃収入が0になってキャッシュフローが悪化して、マンション経営の継続が困難になる可能性もあります。

これらのリスクに備えるために火災保険や地震保険に加入する場合の保険料も経費として計上することが可能です。

管理費・修繕積立金

マンション1棟を全て経営している場合は管理費・修繕積立金はかかりません。しかし、分譲マンションの1室を購入して運用している場合は管理費・修繕積立金がかかります。

管理費とは、日常の維持管理にかかる費用です。電球の交換や管理をマンション管理会社に委託している場合に支払う管理委託費などが管理費に含まれます。

修繕積立金とは、12~15年に1回の頻度で行われる大規模修繕に備えるための費用です。これらの費用も経費に計上できます。

管理委託費

マンション経営を自身で行うことも可能ですが、入居者の募集や契約の締結、建物の管理や適切な修繕の手配、トラブルやクレーム対応などの全てを1人で行わなくてはなりません。

マンション経営の知識や経験がない人、サラリーマンオーナーなどの場合は、適切な対応を行うことができず、入居者満足度が低下して空室率が高くなるので注意が必要です。

そのため、マンション経営を行う場合には、管理を不動産会社に委託するのが一般的です。不動産会社に管理を委託する際の管理委託費も経費に含まれます。

水道光熱費

マンション経営を行う際は、廊下や階段、エントランスホールといった共用部分の電気代、植栽の水やりや廊下・階段の清掃を行うための水道代などの水道光熱費がかかります。

経営しているのが中古マンションの場合、外灯に蛍光灯が使用されていて毎月の電気代が負担になっているケースもあります。そのようなケースでは、蛍光灯をLEDに変更すれば電気代を抑えることができる、LEDに変更する費用も経費に計上できるので覚えておきましょう。

通信費

マンション経営では、不動産会社に管理を委託している場合は不動産会社の担当者、自分で管理をしている場合は入居希望者や入居者との連絡をとります。連絡をとる際の手段には電話やメールなどが挙げられます。

これらの通信費も経費として計上できますが、プライベートでも使用する場合は、一部しか経費として認められません。全額を経費に計上できるわけではないので注意しましょう。

減価償却費

減価償却費とは、建物の経年劣化によって生じる資産価値の減少を示すものです。実際の支出は生じないにもかかわらず、経費だけを計上できるため、所得税の大きな節税効果が期待できます。

減価償却費として計上できる金額や年数は建物の構造によって以下のように異なります。

建物の構造 耐用年数(償却率)
木造 22年(0.046)
鉄骨造(鉄骨の厚み4mm以下) 27年(0.038)
鉄骨造(鉄骨の厚み4mm超) 34年(0.030)
鉄筋コンクリート造(RC造) 47年(0.022)

例えば、購入した新築の鉄筋コンクリート造のマンションの建物価格が1億円の場合は、「1億円×0.022=220万円」の減価償却費を経費として47年計上できます。

中古マンションを購入した場合の計上期間は新築マンションよりも短くなりますが、十分節税効果が期待できると言えるでしょう。

ローン関連費用

マンション経営を始める際は多額の資金を必要とします。居住用の住宅を購入する場合は、住宅ローンを利用できました。しかし、賃貸用の住宅を購入する場合は、住宅ローンを原則利用できません。

賃貸用の住宅を購入する際は、住宅ローンではなく不動産投資用のローンを利用しますが、住宅ローンと同様に利息と契約時の手数料などが発生します。これらのローンの利用時に生じる利息や契約時の手数料なども経費として計上することが可能です。

しかし、元金部分の返済にかかる費用は経費として計上できません。あくまでも元金以外の返済に限られるので注意しましょう。

修繕費

マンション経営では、劣化部分の修繕を行うための修繕費がかかります。新築マンションを購入した場合には、大きな修繕が生じることは基本的にありません。そのため、まとまった修繕費が必要になるケースは極めて稀と言えます。

一方、中古マンションを購入した場合には、新築マンションと比べると大きな修繕が生じる可能性が高いと言えます。急にまとまった修繕費が必要になることもあるので資金管理に注意が必要です。

マンション経営を行う上で生じる修繕費も経費として計上することが可能です。修繕費は金額が大きいため、修繕を定期的に行うことで不動産所得を抑えられると考えている人も多いと思います。

しかし、修繕費は減価償却費とは異なり、実際に支出を伴うため、節税効果を高めるために無駄な修繕費を増やして、キャッシュフローが悪化することがないように注意しましょう。

利回りだけで物件を選ばない

マンション経営を始める場合は、物件の利回りを基準にする人が多いと思います。例えば、利回り5%のマンションだった場合は、マンション価格が1億円であれば毎年500万円の家賃収入が手に入ります。

しかし、この利回りは満室を想定した場合の利回りであることに加えて、マンション経営で生じる諸経費を反映していないという点に注意が必要です。

つまり、SUUMOやHOME’Sといった不動産ポータルサイトに記載されている利回りは、そのマンションを購入して運用した場合の最大の利回りだと理解しなくてはなりません。

中古マンションの方が新築マンションよりも利回りが高く記載されているため、「築年数の経過した中古マンションを購入した方がお得なのでは?」と考えた人も多いと思います。

しかし、実際に運用してみると、空室が生じて利回りが下がる、修繕による支出が発生して不動産所得が下がって利回りも下がるケースが多いと言えます。

そのため、マンション経営を始める際は、利回りだけで判断するのではなく、空室リスクや諸経費なども踏まえながら判断することが重要と言えるでしょう。

まとめ

マンション経営を検討している人の中には、マンション経営でいくらくらいの家賃収入が得られるのか気になっている人も多いと思います。運用するマンションの規模で得られる家賃収入は異なるのでいくらとは言い切れませんが、400万円前後が多いと言えます。

マンション経営では、得られる家賃収入のことだけを考えていてはいけません。家賃収入が増えた場合は、税率が高くなって多くの税金を支払わなくてはならない可能性もあるので注意が必要です。

無駄な税金を支払わないようにするには、不動産所得と給与所得のバランスを考えながらマンション経営を行う、どのような経費を計上できるのかをよく理解してからマンション経営を行うことが重要と言えるでしょう。

お役立ちサービス紹介
不動産オーナー様必見!

【「修繕」についてこんなお悩みを抱えていませんか?】

▼よくあるお悩み
  • キャッシュフローが安定しない
  • 修繕後にトラブルが起きた
  • 修繕をしたいが大きな資金を用意できない

マンションやアパートなどの建物は12年~15年ほどの周期で大規模修繕を行うのが一般的です。大規模修繕には大きな資金が掛かり、それまで資金を残しておかなければいけない。とキャッシュフローで頭を抱えている不動産オーナー様が多いのが現状です。

そんな大規模修繕ですが、毎月定額料金でメンテナンスと修繕を15年間継続して行ってくれるサービス「メンパク」をご存知でしょうか?

修繕を定額にすることでキャッシュフローが改善されるだけでなく、新規物件の購入まで検討することができます。サービスを知らなかった方や導入を検討している方はぜひ下記記事をご覧ください。

おすすめの記事